田舎僧侶の暮らし

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読書感想文『82年生まれ、キム・ジヨン』

数年前に、テレビで紹介されていて、読んでみたいなと思っていた小説。やっと図書館から借りられる順番が回ってきました。人生2度目の韓国文学。

 

チョ・ナムジュ:『82年生まれ、キム・ジヨン』読了しました。



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文在寅大統領もプレゼントされた!K−POPのアイドルがこの本を読んでいると発言しただけで炎上!韓国の社会現象となった本書が、世界的に#metooムーヴメントのまきおこる今、ついに日本上陸。

 

 

 

 

キム・ジヨンという一人の韓国人女性が主人公。

 

主人公の名前にキム・ジヨンを選んだのは、1982年当時出生した女の子の中で、この名前が一番多かったからだそうな。

 

そして、本書は、キム・ジヨンという一人の患者のカルテを通した問題提起の小説である。




フェミニズム小説

 

 

本書の解説の部分で、この本はフェミニズム小説であると言う解説がされているけど、フェニズムとは一体なんだ?という疑問は沸いたね。ググればすぐ出てくるんだけど。

 

ただ、この本の内容がそうであるように、韓国社会における、女性が過去から現在までどのような差別を受けてきたのか、この小説から窺い知るきっかけになった。

 

設定されている時代は、1982年〜2016年で、その間に社会からどのような影響を韓国女性達が受けてきたのかが時代背景としてある。



本書の出版ところである韓国では、100万部を超えるベストセラーとなったこの本。

 

翻訳された国は、日本だけに止まらず、ベトナム、中国、イタリア、チェコ、フランス、インドネシア、スペインでも出版が決まっているとのこと。

 

とんでもない影響力をもった本だ。

 

それだけに、この本の内容も、2020年の感覚からすると、驚きどころが満載だった。

 

 

炊き上がったばかりの温かいごはんが、父、弟、祖母の順番に配膳されるのは当たり前で、形がちゃんとしている豆腐や餃子などは弟の口に入り、姉とキム・ジヨン氏はかけらや形の崩れたものを食べるのが当然だった。p20

 

p20の時代背景は1982年〜1994年で、現在もこのような社会なのかは、わからないけれども、何ごとに置いても年齢よりも先に、男性というだけで優先されるという時代があったんだろうな〜。

 

日本も同じような事していた時代もあったよね、きっと。



カッコ書きについて



小説本編の所々に、日本の社会とは違うことを注釈してくれるカッコ書きで書かれたところもあって、日本との違いの参考になった。

 

新入社員はキム・ジヨン氏を入れて4人。女性2人に男性2人である。休学もしていない新卒のキム・ジヨン氏は一番年下で《韓国では資格取得、語学研修、留学などのスキルアップで卒業が延びる人が多く、また男子は兵役があるので大学卒業時の年齢がまちまちである。》、社内では文字通り末っ子だった。p103




日本になくて、韓国に義務化されているものと言えば兵役。

 

兵役につくタイミングは個人によってまちまちな部分もあるみたいだけど、大学を休学していく人もいるみたい。

 

だから、日本のように新卒一括採用!の延長にある、同期とは同い年です!みたいなことも少ないみたいだね。

 

ほんでもって、一番年下の者が職場の雑務をする。

コーヒーカップ下げて洗ったり、早く来て掃除したり・・・・このページの時代設定が2001年〜2011年。日本でも同じようなことしてる気がする、今でも・・・



最後の時代設定である2016年は、キム・ジヨンのカルテを見ていた男性医師の視点にうつり物語は終わるが、結局現在も、過去と変わってないんじゃない?という作者の皮肉が込められていたような読後感でした。



まとめ

 

韓国で社会現象を巻き起こした本書。

 

韓国社会における女性への差別の歴史が垣間見れる。

 

男子のみへの兵役義務もその原因の一部になってるんじゃない?と思ったり。

 

でも全部が全部韓国のみで起こっている現象でもないような・・・・

 

日本でも同じような歴史はあっただろうな、きっと。