田舎僧侶の暮らし

けっこう長芋が好きな坊主のブログ

読書感想文『最高の飲み方』

体質的に沢山お酒を飲むのは無理。ビール1杯ですぐ顔赤くなるから。

でも、酒の席は好き。

翌日までアルコールの影響が続かない飲み方ってなんだろうなと思い手に取りました。

 

葉石かおり:『酒好き医師が教える 最高の飲み方』読了しました。

 

 

 

 

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酒は「毒」か「薬」か?最新の医学でわかった”正しい”飲み方を徹底解説。

 




遺伝によって酒の強さは変わる

 

強くなるかどうかの割合は人種によって違っていて、白人や黒人はほぼ100%が酒豪になれる遺伝子の組み合わせです。日本人を含む黄色人種では、酒豪が50%、下戸が⒑%、そして残りが強くなれる可能性があるタイプです。p139

 

欧米系の血を持っている人は、酒が強いってのが衝撃的。

体格もでかいし、食べる量も多いし。

沢山食べてもそれを処理できる内臓を持ってるところが、すでに強いよね。

それでいて、アルコールに強い遺伝子を持っているとは、さすがです。



酔っぱらうと「ここだけの話」をしたくなる

 

酒を飲み始めて、数時間たったあと、ついつい話してもいいのかどうかギリギリのラインの話をしたくなったり、話したらまずいだろって内容も話ちゃうこともあるでしょう。

 

普段なら絶対に言わないことを喋り始めるのは、前頭葉が麻痺し始めた典型的な状態なのですp128

 

この前頭葉が麻痺することで、理性の働きが鈍くなって、普段しないことまでしちゃうらしい。服脱いだりとかね・・・・



糖尿病だから日本酒はだめ。は過去のもの

 

糖分が入っていないお酒といえば、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒。

けれど、日本酒に含まれるアミノ酸は、糖尿病だけじゃない、生活習慣病に効果があるのだとか。

 

日本酒のアミノ酸は、糖尿病をはじめとする生活習慣病全般に効果が期待できるー中略ー適正量の飲酒であれば、生活習慣病を予防することが期待できるのです。p29

 

そして体質にもよるらしいけれど、1日の適正量は日本酒1合から2合程度。

 

これくらいで私は顔が赤くなるし、十分酔っぱらえるだよな。





まとめ

 

酒に強い人、弱い人。それぞれあるけれど、色んなアドバイスが詰まった本。

 

様々な分野の医師からのコメントが詰まっているし、成分の名前がカタカナばかりで全然頭に入ってこない。

 

居酒屋のメニューで多いフライド系。

 

よく注文するけれど、それらには、アルコールを緩やかに吸収させてくれる効果があったのは知らなかった。

 

油物を酒より前、あるいは同時に食べることは、二日酔い対策に良いらしい。

 

酒は飲み方次第で「薬」にも「毒」にもなる。

 

よく言われてることは医学の側面から見てもどうやらそうらしい。

読書感想文『スタンフォード式 最高の睡眠』

最近寝つきはよくて、寝起きもシャキっとしてはいるけれども、目覚めが悪い時の不快感は忘れられないので、今度寝起きが悪い時がきても対処できるように読んでみました。



西野精治:『スタンフォード式 最高の睡眠』読了しました。

 

 

 

 

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睡眠は人生において「必要不可欠なもの」のひとつではある。しかし、もっと大事なのは睡眠は「ギフト」であるということだ。

 
本書を読み始めると、人生は3分の1が睡眠という事実がまず突きつけられる。

あとの3分の2が日常起きている時間にあたるわけだけども、人生毎日寝てればそれくらいの総量になるようなぁと、そこは納得。

 

そして、3分の1の睡眠が3分の2の活動をも支配していると言って過言ではないほど、睡眠と起きている時間は相関関係にあるとのこと。



最初の90分で決まる

 

睡眠の研究に携わり30年以上経過した著者曰く、眠り初めの最初のノンレム睡眠が、就寝時間の中で最も長く深い眠りであるとのこと。

 

それ以降、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を繰り返しながら朝に向かっていくのだそうだが、最初に訪れる深い眠りこそがその日の睡眠の質を司っている。

 

最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体の中でもっとも深い眠りである。この段階の人を起こすのは非常に難しく、無理に起こすと頭がすっきりしない。ー中略ー寝る時間が無いなら絶対に90分の質を下げてはならない。

 

私は、大体23時くらいには布団について、すぐ寝つけるんだけども、夜中にトイレに起きる時がたまにある。そんな時は決まって、朝の目覚めがイマイチなんだよな。

トイレにおきたくなって、ノンレム睡眠中にもしかしたら起きているのかも・・・・

あと、電気付けっぱなしで寝落ちして途中で起きた時とかもね、朝の目覚めすこぶる悪い。

 

サーガディアンリズム

 

人間に限らず、他の生物にも備わっているのが24時間前後での体内時計。

地球が1周するのが24時間だからか、それに合わせた体内時計が体の中にすでに組み込まれているとのこと。

この影響もあってか、夜寝るのと日中で寝るのとは、睡眠時間が同じでも、質が全く異なるらしい。

このリズムもあってか、深夜まで働かざるを得ないタイミングにぶつかったビジネスパーソンほど、早々と寝てしまった方がいいらしい。

 

「もう午前0時。でも、どうしても資料を作らなければならない」といった夜が、あなたにもきっとあるはずだ。そんな夜でも、徹夜だけは避けて欲しい。私がおすすめするのは、眠気があるならまず寝てしまい、黄金の90分が終了した最初のレム睡眠のタイミングに起きて、資料作りにとりかかるという作戦だ。最初のレム睡眠も入れてわずか100分ほどしか寝ていないとはいえ、深く眠れていれば質は確保される。p108


地球に逆らうような寝方はするなってことだね。

理論上はそっちの方が生産性高いんだろうけど、実際寝始めちゃったら途中で起きたくないよね。

だから仕上げるまでやってから、幸福感に包まれて寝るタイプだな私は。

まぁ、深夜まで仕事してる時点で幸福感は無いけど。

 

土日の睡眠方

 

平日の寝不足を週末に寝溜めすることで、補うのはやっぱりよくは無いらしい。

ただ、平日より1〜2時間程度多く寝る分にはセーフなんだそうだ。

ただ、就寝時間は平日と同じにした方が良いのだそう。

人間の場合、起きてから14〜16時間経過したくらいの時に睡眠圧が高まり眠くなるらしい。

だから休みの時も、14〜16時間目覚めの時間を確保した方が、夜はすんなり寝れる。

 

まとめ

 

睡眠は深い眠りと浅い眠りの繰り返しであることは聞いたことあった。

けれど、眠り初めに訪れる深い眠りが、質の高い睡眠には一番大事だってことは知らなかった。

質の高い睡眠をするために、日中を過ごす。

日中を活発に過ごすために、質の高い睡眠をとる。

表裏一体?というよりどっちも表?みたいな関係性。

寝るのが楽しみになる本でした。

 

読書感想文『白菜のなぞ』

このタイトルと表紙の顔に心惹かれて、衝動的に借りてしまいました。

 

板倉聖宣:『白菜のなぞ』読了しました。

 

 

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日本人はいつごろから白菜を食べていたのでしょう?白菜の歴史をしらベてみたら、次々とおもしろいことがわかってきました。身近な野菜にかくされた《なぞ》をといていって、科学のたのしさを体験する本。

 



冬の時期といえば、やっぱり鍋。

 

そして鍋といったら無条件で入っている、それが白菜。

 

冬に食べる時が多い感覚だけども、キムチや漬物だって白菜使ってて、オールシーズン食べている感じがする。

 

白菜が好きだから、食べているというよりむしろ、好きな料理には大体白菜入っているなぁ〜みたいな感覚。

 

そんな、メインの食材ではなくとも、思いを巡らすと大体の料理に入っているんじゃないか?という身近な野菜、白菜の謎に迫った本。

 

 

白菜はどこからきた?

 

白菜。漢字で書いたら、白い菜。

 

こんな簡単な字を使っているなら、大昔から日本にあった食材だと思っていたら驚き、外国からやってきた野菜だったとは!

 

この本によると、明治8年に中国からやってきたのだそう。

 

これを読んでもあまり附に落ちないほど、今では身近な食材となっていて、信じられなかったよ。

 

今でこそ白菜の中心部に行けばいくほど白い葉っぱが多くなっていくが、白菜伝来当時は、今の白菜の形とは違っていた。

 

 

結球しない白菜

 

包丁で白菜を縦に切れば、その断面はマトリョーシカのようになっているイメージが頭にすぐ浮かぶ。

 

それが今の白菜の形で、結球している白菜となるが、伝来当時の白菜は、結球が十分ではなく、小松菜のように緑の葉っぱの割合が多かったのだそう。

 

やっぱり中国からやってきた野菜だけあって、日本の土には適さない症状がでたようだ。

 

しかし、そんな結球していない白菜を、今の形に改良した先人がいた。

 

その名も野崎徳四郎。

 

 

白菜への思い

 

日本で初めて、今のような形の結球している白菜を作った人が、野崎徳四郎。

 

彼は、愛知県でその栽培に成功したが、そんな時代と並行して茨城県や宮城県でも、白菜栽培研究が進められて行った。

 

そして、日清戦争の時代になると、各地に兵隊が出征していく中で、中国の立派な白菜をみた人が、日本へ白菜のタネを送ったり持ち帰ってきたりした。

 

その後様々な人によって研究と実験が重ねられて、やっと日本の土でも立派な白菜が出来上がるようになった。

 

今の白菜の形が当たり前だと思っていたら大間違い!

 

試行錯誤を繰り返しながら、中国で育っている白菜の形に近づけて行ったなて・・・・

 

多くの先人がいて今の白菜があると思うと、しみじみした気持ちになっちゃう。

 

1年を通して白菜を食べないということは、これからもきっと無いだろうな。

 

まとめ

 

鍋といえば白菜。

 

これはセットと言って差し支えないと思う。

そんな身近すぎる食材が故に、白菜に思いを巡らせることなどないと思っていた。

 

けどこの本は、そんな当たり前な野菜にさえ歴史があることを教えてくれた。

 

今度白菜食べる時、この表紙の顔思い出しそう。



読書感想文『チーズはどこへ消えた?』

めちゃくちゃ薄い本。こんな薄い厚さの本読んだことないなと思い、借りてみました。

 

スペンサージョンソン:『チーズはどこへ消えた?』読了しました。

 

 

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この物語に登場するのはネズミのスニッフとスカリー、小人のヘムとホー。2匹と2人は「迷路」のなかに住み、「チーズ」を探します。

「チーズ」とは、私たちが人生で求めるもの、つまり、仕事、家族、財産、健康、精神的な安定・・・等々の象徴。

「迷路」とは、チーズを追いもとめる場所、つまり、会社、地域社会、家庭・・・・等々の象徴です。

この一見シンプルな物語には、状況の急激な変化にいかに対応すべきかを説く、深い内容がこめられているのです。

 



薄くて深い本

 

全部活字の物語になっているけど、絵本にしてもいいくらい中身はわかりやすい。

 

それに、全部で100pもいかないほど薄い本だから、1時間あれば読み終えてしまうほどの量。読書嫌いの人でも読みやすそう。

 

チーズを探す登場人物たち。

 

ネズミと小人という設定の登場人物たちが、人間の単純さと複雑さを表している。

 

そういう前提のもと本書を読み進めていくと、なるほど唸る部分もいっぱいあった感じがしたな。

 

人間は、他の動物と違って理性があるから、余計なことまで考えてしまうのよね。そしてポジティブに考えるより、ネガティブに考えてしまいがち。

 

人が恐れている事態は、実際は想像するほど悪くはないのだ。自分の心の中に作り上げている恐怖のほうが、現実よりずっとひどいのだp37

 

そうなってしまう思考の裏には、不安と恐怖という感情が大部分を占めてしまっていることに原因がある。

 

一方同じくチーズを探しているネズミは、

 

前進することに関しては、仲間のネズミたちのスニッフとスカリーから有益なことを学んだ。彼らにとって、人生はつねに単純だ。事態をどこまでも分析しようとして、物事を複雑にしたりはしなかった。状況が変わってチーズがどこかへ消えてしまうと、自分たちも変わってチーズを探しに出かけたのだ。p65

 

とあるように、考えるよりも先に行動に移してしまうという描かれ方。

 

ぐじぐじ考えていないで、行動に移してしまった方が結果オーライに近くで!という解釈になりました。



まとめ

 

「世の中は常に変化している」という、今までも、きっとこれからも誰かが言い続けていくだろうこのフレーズ。

 

それをたったの100頁未満の物語にして著した本書。

 

変化することが当たり前の世の中で、いかに自分が変化できるのか?

 

変化をし続けることの重要性を説く物語。

 

まるでダーウィンの進化論のように、環境に変化するものだけが生き延びる。

 

みたいな要素を感じたし、諸行無常みたいなニュアンスも感じました。

 

読書感想文《お金2.0~新しい経済のルールと生き方~》

またお金関連の本を読んでしまいました。

 

タイトルは、胡散臭さがそれなりにする感じで、2.0ってなんだ?という疑問が常につきまとっていながら読んでました。

 

佐藤航陽:『お金2.0−新しい経済のルールと生き方』読了しました。

 

 

 

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本書を読んでくださった方々がお金を「ツール」として深く理解することで今まさに始まりつつある「新しい経済」をうまく乗りこなし、自分のやりたいことが実現できることを強く願っています。

 

 

 

貧しい幼少期時代を経て、幼い頃から人生は平等ではない。

 

ということを肌感覚で悟った人がお金の正体を掴むために会社を立ち上げた。

 

その経験と実績から経済の仕組みを作者なりに解釈し、読者に経済の仕組みを述べる論調だけど、自身の実績と経験を出されたらそりゃ〜説得力強いさ。

 

 

資本主義から価値主義へ

 

 

人間は豊になると欲望の種類が変化していくのだそうだ。

 

1980年代以降に生まれた世代は、それ以前に生まれた人とは仕事や人生に対するモチベーションが違うという。

 

この現象は、この本じゃなくてもテレビとかラジオとかでも喋っているのを何回も聞いたことがあったので府に落ちた。

 

90年代に生まれた私は、景気がいいという経験を得ることなく成人してきた。

一方で、戦後当時三種の神器と言われた物は、あって当然の中で生まれ育った。

 

だからなのかはわからないが、「あのブランドの家電じゃないとだめ」とか「あのメーカーのコンポ持ちたい」とか、そうゆう類の所有欲というのは、私はない方だと思っている。

 

だから、稼いだお金で何かを買うことで満たされるという考えがない。



まとめ

 

物が溢れた世の中とsnsの発達によって、個人が自分の価値を公にできる土台ができあがると同時に、それに共感する人たちと繋がれる時代になった。

 

また、そうなってもう久しい。

 

個人の価値が共感を産んだら、そこから経済圏が始まるような世の中になってしまった。

 

 

 

読書感想文【ある男】

『マチネの終わりに』を読んで初めて知ることとなった作家さん、平野啓一郎。違う作品も読んでみたくて、借りました。

 

平野啓一郎:『ある男』読了しました。



 

 

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弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。

宮崎に住む里枝には、二歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。

長男を引き取って十四年ぶりに故郷に戻ったあと、「大佑」と結婚して、幸せな家庭を築いていた。

ある日突然、「大佑」は事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に、「大佑」が全くの別人だという衝撃の事実がもたらされる。

 

 

どこまでが真実?

 

本の表紙は、膝さえ床につけば「考える人」みたいに見えるシルエットだし、記号で表せば?マークのようにも見える。「ある男」というタイトルだから、きっと「ある男」を表現しているのだろうな。

 

登場してくる人物は、概ね30代後半〜という感じで、成熟した大人の考えが土台にあって物語を描いている。

 

前回の「マチネの終わりに」を読んだ時も思ったけど、平野作品のどこまでが一体ノンフィクションなんだろう?

 

およそ、全部がノンフィクションではないことは想像つくけど、本編に入る前の序文のあたりで、本作を書いた理由みたいな部分が書かれているところには、やっぱりこの小説のモデルとなる人物がいたことが示唆されているんだよなぁ〜

 

序文でそういう文句を、頭に植え付けられたあとで本編に入るもんだから、不思議な感じがするよね。




男の話でもあり、女の話でもある

 

物語は、ある女性の視点からはじまる。その女性の旦那「谷口大佑」は林業の事故によって早死にしてしまうが、その事故死をきっかけに、これまで名前を偽っていたことが発覚する。本当は「谷口大佑」ではなかった。

 

ほんとミステリー感満載の出だし。

 

そんな「谷口大佑」は一体誰で、本当は何者だったのか?を、弁護士の「城戸」が明らかにしていくような作品。

 

そんな、「谷口大佑」が一見主人公のように見えるけど、描かれている視点の多くは、弁護士の「城戸」だったりその家族だったり・・・・

 

登場人物全員主人公。みたいなノリの作品ではないけど、全ての人物に物語が散りばめられている。

 

「ある男」というタイトルではあるが、男だけの物語というわけでもなく、女性も登場してくるし、妻子がいながらも他の女性に心を持っていかれそうな場面もある。

 

浮気という概念には到底あてはまらないけど、知り合い以上、恋心未満という絶妙な40代を目前にした男女の雰囲気を、文章で表現しているところは、「マチネの終わり」にでも思ったけど、さすが平野啓一郎作品だな。と思わされました。



まとめ

 

事故死をきっかけに、これまで名前を偽ってきたことが発覚した「ある男」

 

これはミステリー作品かな?と思わされるような出だしだけど、

 

全然違った。

 

確かに「ある男」の話ではあるけど、40代を目前に控えた成熟した男女の描写もあって、

 

その絶妙な雰囲気を文章で表現する作者には脱帽しっぱなし。

 

「ある男」1人だけの話では全くなかったような感じがしました。




読書感想文『センスは知識からはじまる』

著者が、あの「くまもん」を作った人たちの1人ということで、気になり読んでしまいました。

 

水野学:『センスは知識からはじまる』読了しました。



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センスがある。センスがない。

 

こればっかりは、各々の人間のキャラクターとか性格によって変わる物だし、抽象的な概念すぎて、言葉によってセンスがあるとか、ないとか判断できるものではなくて、漠然とした概念的なニュアンスで捉えていたけど、著者に言わせればセンスは磨くものであって、その努力をしていないだけじゃない?と言われているような気がした。

 

 

仮にセンスが水だとして、誰もがもともと水を持っているとします。ある人は、その時その時に最適な水の出し方を考え、表現する力があります。例えば、暑い夏の日にはきりきりと冷やしてレモンをひとしずくたらし、冬には口にすると体の芯から温まりそうなお茶を淹れるというように。ある人は、水の出し方などはなから考えず、同じように供するだけです。例えば、生ぬるい上に、新鮮でない水を、365日差し出すというように。p37

 

前者と後者。どちらがセンスがある人かは言わずもがな明白だと著者は述べます。

そして、そういう行為をするセンスさえ、自分で作り上げられるものであり、それは知識から始まる物だと述べます。




センスは知識からはじまる



このタイトルにもなっているように、「センス」とは知識の集積である。と著者は述べます。



 

「あいうえお」しか知らない人間と「あ」から「ん」まで五十音を知っている人間とでは、どちらがわかりやすい文章を書けるでしょうか?−中略−センスがいい文章を書くには、言葉をたくさん知っていた方が圧倒的に有利である。これは事実です。p74

 

センスは知識の集積ということを、具体的に示すやり方として、五十音をたとえに出していたところが、わかりやすかったし、何もこれは五十音だけに当てはまることではなくて、いろんな職種の仕事にも当てはまるように、知らないということが不利に働くことの方が多いから、知識を蓄えることはやった方がいい。とのこと。



あっと驚く物は売れない



 

たとえばiphoneは、かつてなかった商品とされますが、固定電話、携帯電話という流れに沿ったものです。akb48はおニャン子クラブ、モーニング娘。の流れを汲むものでしょう。インターネットにしても、飛脚、郵便、電報、テレックス、ファックスという通信手段の流れの中にあります。p78

 

これらに共通することは、過去にあったものを、少し改良した物が便利な物として新たに登場してくること。

例えば、飛脚が主流の時代に、スマホを持っていったとしても、それは何?という反応をされるだけで、それを便利なものとしては使われないよ。

ということのように、進歩はちょっとずつでしか進んでいかない。

 

だからこそ、今では当たり前として存在している「あっと驚かないもの」を知識として蓄えて、次の機能として求められる物はなんなのか、を考える方が現実的。



まとめ

 

いろんな物も情報もあふれるの世の中になってしまいました。

 

そんな時代には「質」に重きが置かれるようになる。これは戦国時代にも起きた現象だし、世界史でいうところのルネサンスにも当てはまると著者はいう。

 

そんな「質」を生み出すために必要なセンスは、知識を蓄えることで磨くことができるという。

 

センスがある、とかないとか、言葉で表し難くて、誰しもが持っているとは到底思えない。

 

けれど、実は誰でも持つことができるものなんだよと諭されているような気分になりました。